・映画『日本と原発』試写会‥‥レジメ(その5)

・映画『日本と原発』試写会‥‥レジメ(その5)

 

(I)原子力規制庁と、そのいわゆる「新規性基準」に欠落しているもの‥鈴木大介弁護士のお話?→田中三彦さんのお話)

 

 ・3.11福島第一原発事故以前は、「原発は過酷事故は起こさない(いわゆる”安全神話”)」が前提だったが‥

→3.11事故を契機として組織された原子力規制庁は、「過酷事故は起こる」を前提する‥へ変化している。(当初、新組織の名称として「原子力安全庁」が取りざたされたが‥結局「原子力規制庁」と命名されたことに、この重大な変化があらわれている。)

 

・以上は、原子力規制委員会委員長が「原発は絶対安全とはいいきれない」とか「”世界一安全な日本の原発”とは、たんなる政治的な言い回しでしかない‥」云々との発言に端的に語られている。

 

・問題は、「過酷事故は起こる」を前提する新組織に生まれ変わったはずであるにもかかわらず‥

「過酷事故さえ、起こさなければ対策は必要ない」という基本姿勢であること。

 

田中三彦さんは‥「契約違反」という言葉を使っていた。‥地域住民と電力会社の契約の大前提が、「過酷事故は起こらない」→「過酷事故は起こりうる」に変化した。‥であるにもかかわらず、規制庁は抜本的な対策を取らずに、「新たな安全神話」を作ろうとしている。

 

 

 

 

↓(J)原発事故とは‥‥「国(策)破れて、山河も無し」‥交通事故などの「個」の死に対する‥「種(人類・社会・地域コミュニティ)」の死である。‥‥

 

・波江町長さんの話「3.11原発事故前‥6校の高校があった浪江町の生徒たちは、現在全国各地で699校に通学している。」‥

「事故以前‥国と東京電力は、”原発は絶対安全”と言っていたのです。‥だから事故の加害者は、国と東電である。‥なのに、国も東電も自分たちも津波の被害者であるかのようなををし続けている。」(*怒)

 

 

・「科学とは、失敗の原因を究明し、その欠陥を修正し進歩してゆく」ということが言われるが‥原発事故では、今回の福島第一原発事故を見てもわかるように、放射能とその放射線のために現場に近づけず原因究明は不可能である。

 

(*このシナリオが、電力会社の火事場の「焼け太り」体質を作りだしてきた‥とおもう)

 

 

・外国の放送局が現在のフクシマの状況を伝えていた。

「いま、福島の住民の命を奪っているのは放射能ではなく…自殺です」

 

・2014年8月、福島地方裁判所は「自殺と原発事故の間には因果関係があり、生まれ育った地でみずから死を選択した精神的苦痛は極めて大きい」として、東京電力に対して遺族に合わせて4900万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

・この判決の「遺族」の女性が、現在進行中の帰還推進事業に対して‥

「たしかに線量は下がっているのかもしれないが、他は何も手つかづ‥福島第一原発の煙突が見えるんです。‥‥再稼働は絶対やってはいけない」と語った。

 

 

 

福島県浪江から山形県長井へ‥新天地で再起‥鈴木酒造店 ‥銘柄(長井蔵、磐城寿)‥ホームページは以下です。

http://www.umaisake.ne.jp/goods/nihon/iwaki_kotobuki/

 

 

 

 

 

 

(K)福島第一原発の汚染水問題

 

福島第一原発は、建設当初‥山を削り地盤を20メートル掘り下げ敷地を造成した。‥したがって、建設当初から地下水の湧出があり原発敷地内に地下水抜きのための井戸が何本も掘られていた。

 

・2011年6月、スラリー壁を1~4号機の建物外周地下にめぐらせる計画があったが、東電破綻が噂されるなか開かれようとしていた株主総会を前に、先送りされた。

 

・その結果‥3.11以来‥セシウムは20兆ベクレルストロンチウムは10兆ベクレル‥全体で300~400兆ベクレルが太平洋に流れ出し‥流出は現在も続いている。

 

 

・2015年2月26日‥asahi.com (*初めからわかってたことなのに‥相変わらずである。「またかっ」と‥慣らされてはいけないのだろう‥)

”汚染水流出、公表すべきと「思わなかった」 東電

http://www.asahi.com/articles/ASH2V5FQ6H2VULBJ008.html

 

 

 

 

 

・10万年にわたって(*‥そもそも、いったい‥そんなに長く人類が続くんだろうか?)管理しなければならないといわれる原子力発電による核廃棄物。‥世界中で最終処分場が決まっているのはフィンランドオンカロだけだという。

 

 

(*フィンランドは電力需要のおよそ3割を原子力発電にたよっている。‥しかし、原発の安全性に対してはかなり厳しい。
原発の安全と責任感を示すため、電力会社の本社は原発の敷地内に建設されている。
‥核廃棄物最終処分場オンカロは、地殻変動が数億年なかった岩盤に立地している。地震が少ない国であるが、地震計は日本の2倍設置されている。
フィンランドでは再処理を考えていない。原発からの直接処分である。

<覚悟がとんでもないフィンランド原発事情>さんは、フィンランドがなぜ原発を必要としているのかも含め以下にまとめていた。
http://matome.naver.jp/odai/2134094909236897801

 

 

 

・『100,000年後の安全』[2009年公開、マイケル・マドセン監督]‥

渋谷のアップリンクさんが、2011年4月に緊急公開してたのがおもいだされる。‥『日本と原発」にメッセージを寄せている小泉元首相もこの映画を見て脱原発へと考えを変えたと伝わる。

 

(*‥ついでだけれど、2014年の都知事選挙で、小泉さんに支持された細川元首相が立候補し、『日本と原発』の河合監督は彼らの陣営を支持した。‥いっぽう、前年12月に全候補者中最も早く無所属で出馬表明した宇都宮健児さんを推していたのが、『日本と原発』を監修した海渡さんだった。‥そういった曲面を乗り越えて、この映画は作られたのだと、わたしは勝手に理解することに決めたのだった‥)

 

 

・再稼働?‥再稼働すればまた核廃棄物が出る‥貯蔵施設も最終処分地も気まらないままに‥

[*rima(アベ政治を許さない)さんのツイートから画像拝借]

 

 

f:id:dockubikino:20150724172418j:plain

 

 

 

(*福島第一原発事故が起こるまでは、列島全原発から出る核廃棄物は1000~1600トン‥いっぽう、破綻した再処理サイクルであり操業停止が続く六ヶ所村再処理工場が万一稼働できたとしてもその処理能力は600トンでしかない。‥‥だから、上の図のようになってしまうのは、あたりまえなのだ。‥

‥だから、福島第一原発4号機には1500本以上の燃料棒が冷却されるような事態があったこととも無関係ではない。‥原発推進側も推進側も、こんなことはよく心得ているので、燃料棒を納めるキャスクの隙間を狭め、少しでも大量に燃料プールに収めようとするような姑息なことでやった。このことは、当然、地震動に弱くなるわけで停止中の4号爆発の際も関係性が疑われていた。‥‥燃料プールの問題や、同様に核のゴミを減らすために考案されたMOX燃料についても「新規制基準」で‥3.11事故以前から強化されたという話を聞かない。)

 

 

 ↓

 

・(*福島第一原発事故による核汚染物の原発敷地内空撮映像‥次の津波を待っているかのようだ‥

https://youtu.be/UCP7PFT9coU

 

 

 

 

 

 

小出裕章さんが、「電力不足はありません」と断言する。「なにもも‥このことは私が言っているのではなく、政府統計局のデータを見れば電力不足がないことが分かるのです」

 

(*7月22日現在‥原発ゼロは676日間続いているので、電力不足がないことは、肌で感じられるようになった。‥であるから原発推進側は、この暑い夏も「電力不足」を声高に喧伝しなくなった。‥‥しかしいっぽう、専用の原発一基分の電力を必要とすると言われるリニアー新幹線の着工や‥福島汚染水対策の凍土壁[電気代が月間1億円も効果がなかった]や東京オリンピック

‥大量の電気需要を必要とするプロジェクトを次々進めてしまってる。いつの日にか「電力不足」の大合唱を再現するために‥‥か)

 

 

 

 

 

 

 

<参考文献>

(*‥赤シャツが蔵書しているものですので、読んでみたい方は、声をかけてください。貸し出しいたします。)

 

・中嶌哲演×小出裕章『いのちか原発か』(風媒社 2012年刊

 

・佐久間稔『わが職業は死の灰の運び屋』(創隆社1986年刊)

 

・堀江邦夫『原発ジプシー』(現代書館1979年刊)

 

 

 

 

 

 

 

(*…

(a)原発立地指針を変更して‥原発から半径10キロ圏~30キロ圏の居住制限区域を設けるということもなかった。‥いぜんからアメリカでは居住制限区域を設けられている。この国の原発が「絶対安全」から「過酷事故は起こりうる」前提へ変化したのであれば、当然そうした居住制限区域は定められなければならないであろう。

 

(b)「原発震災」を経験したにもかかわらず、社会的にも、原発の設備・機器的にも‥多重性や複合性が全く考慮されていない。

 

 

(ⅱ)「”過酷事故さえ、起こさなければ対策は必要ない”という基本姿勢に変更」したにもかかわらず‥過酷事故を起こさないための規制・対策も不十分である。

福島第一原発事故では、外部電源の喪失(地震による送電鉄塔の倒壊による‥)が一つの大きな原因であったにもかかわらず、「新規性基準」でも、送電設備の強度について最重要項目に入っていない。

 

(ⅲ)福島事故ではバックアップ電源(非常用発電機)が同じ場所に設置されていたために同時に複数台故障した。‥にもかかわらず、これに対する対策も考慮されていない。‥事故の進捗状況を見極めるための計器類についても重要視されていない。

 

(ⅳ)2007年、中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所事故で、事故対策等が使えなかったことを教訓としてとして、福島第一原発に3.11の半年前に免震棟が完成し、まがりなりにも、今回の福島第一原発事故では大きな役割を担った。‥‥にもかかわらず、現在免震棟がないにもかかわらず、「建設の予定がある」との電力会社の言い分だけを聞いて、規制庁は大飯、高浜、そして川内原子力発電所は「新規性基準」に適合しているとの判断を公表した。‥‥‥‥‥)